お便り

2022年3月12日
2022年3月12日 インタビュー&お便り
三月の三人展−Improvisation−
h.yoshimi/y.koshita/t.shimoda

武蔵野美術大学の通信大学を卒業された3人の展示です。仕事しながら、学ぶのはとても大変だったとおもいますが、卒業され、このグループ展を開きました。皆さん、絵を描くことで自分の中に何かを確立できた様です。自分の中に迷いやこうありたいと思ったとき、通信の大学にはいられ、仲間がやめていく中、卒業までされたことは何にも代えがたい自信になったことだと思います。懐美館

t.shimoda
Q どうして絵を描くようになったんですか
A デザインの仕事をしているので、絵を描くのは身近な作業でした。ただ、デザインは自分以外の誰かの意図を形にする仕事なので、周りの意図ばかり気にし、社会に日和って描くのが習慣になってしまっていました。そこでちょっと原点回帰というか、デザインという道を選択する前の、ただ絵が好きだった頃に戻ってやり直そうと思い立ちました。仕事を調整して武蔵野美術大学の通信教育課程に入学し、今回のメンバーはそこで会った3人なんです。大人になってもいつでも始められるという気持ちで描いてます。

Q やり直そうというきっかけはあったんですか?
A あります。デザインの仕事は絵画と同じようにビジュアルを創る作業なんですけど、私のやっているWEBデザインはデジタルで完結しますし、何も形に残らないんです。作業の回転も速いですし、常に人に何か求められて、人のオーダーにあったものを作っているので、自分が何を良いと思っているのか分からなくなってきて。毎日毎日よく分からないものを作っては消費されていくのがつらくて、好きで選んだ仕事のはずなのに、魂が抜けているみたいな時期がありました。そこで一度自分の中にあるものを見直そうと思って、デジタルと対局にある油絵を描き始めました。

Q デザインを学ばれていたんですか?
学校でグラフィックデザインを学んで、WEBデザインの仕事に就きました。その後はずっとデザイン職です。でもデザインを学ぶ前はただ絵が好きで自由に絵を描いていました。子供とかみんなそうですよね。絵が好きで絵を描く、という単純なことを、大人になるに連れて忘れてしまったので、今はそれをひとつひとつ思い出すようにして描いてます。

主に人物、特に女性の内側にいろいろ抱えているような表情にぐっときます。思春期の、未成年の、独身の、既婚の、シングルの、娘の、母親の、それぞれが抱える鬱々とした何か。年齢造形暮らす環境問わず女性は魅力的です。t.shimoda

y.koshita
Q 絵を描いたきっかけは何ですか
A 昔から絵を描いてましたが、まとまった作品を描いて無いこと、さらに絵を描き続けたいと思って、通信制の大学に入りなおしました。卒業までずっと描くことで自分の中で習慣づけることができました。

Q 若いころは、絵とどういうかかわり方でしたか?
A 今も内面的なことを描いてますが、若いときはもっと直接的な感じで具象と抽象との間で義人的なものを描いていて、ムンクの叫びみたいな感じの絵を描いていました。それだとちょと直接的過ぎてなんというか気味が悪く感じて、人が見て嫌な感じがしない絵でも内面がわかるようなものが表現できないかとおもって、今みたいな感じになりました。

Q 見た感じ、不安定な感じがしますが、明るい原色が多いような気がします。
A 昔よりおちついて、明るい色が使えるようになりました。前は明るい色が使えなかった。年齢を経て、落ち着いてきたのかなと、幸せとは何なのか分かってきたのかなと思います。

Q 大学はどうでしたか?
A 一年から入ったんですけど、2年から3年に上がれなくて、そこで7年ぐらいかかりました。

Q 試験無いんですよね。
あります。入学の時はないんですが、実技があって、レポート2回書いて、さらに試験があります。文化科目はみな試験があります。それが受かって、やっと単位が取れるんです。だから、レポートと試験のところで、受からなくてやめてしまう方が多いとききました。

Q 学校にスクーリングに行くのがいいですよね
A それがないとやってる感じが無いですね。

Q 家で一人でやるのは大変ですね。
A そうです。モチベーションが保てなくて、しかも、学校に同じ年齢の人がいなくて、たまたま同年代の人に会って友達になって、それからやる気が出てきたかなという感じです。仕事していたので、励ましあいながらできてよかったです。
卒業まで10年かかりました。

キャンパスは生地だから縫えるよね と思ったのが私の絵の出発点だ。でも、キャンパスは厚いから穴を開けないと縫うことができない。自分の絵に穴を開けてそれを縫う。まるで自分の中の穴を埋める作業をしているようだ。できたものを壊す、作る、また壊す、作る。この繰り返しは、自分の生き方そのものである。y.koshita


h.yoshimi
Q 絵を描き始めたきっかっけは何ですか?
A ウェブのデザインをしていたんですが、年齢とともに、パソコンの仕事がつらくなって、目がしょぼしょぼしたり、全身がコチンコチンになってしまって、これはそろそろ違う方向を考えていかなくてはいけないと思い、大学に入ろうと思いました。今までやってきたことを深堀して、どんなことにも流されない軸を自分の中につくりたいという思いがありました。

Q 学校はどうでしたか?
A 続けていくうちに、迷いは出てくるんですけど、最終的には絵を描くテーマとして私はここに行きたいというのがあったので、今それを目指して描いている最中です。

Q ここに行きたいというのはどこに行きたいのでしょうか?
A もともと猫が好きで生き物が大好きなんです。植物とか動物とかなので、地球で平和に共存していきましょうという思いですね。抽象で、少し具象も入っているんですけど、よくよく見ると、動物が入っていたりとか、とにかくみている人に想像してもらうのが好きです。

Q 先ほど、学校に行かれているとき、迷いが出てきたとおっしゃいましたが、何を迷われていたのでしょうか?
A やはり、人と比較してしまう自分がいたというのが迷いの原因だったと思います。それを取っ払って自分は何ができるんだろうと思ったときに、自分の過去に何をやってきたのかと振り返ってみると、精油だったんです。アロマです。精油だけは、手放せないなというのがあって、自分が身体を壊して病院に行っても熱は下がらないというのがあって、その時たまたま、アロマに出会って、熱は下がったという不思議なことがあったので、アロマはだけ手放したくないという思いと、もともと植物がすきだったので、それをキャンパスの中に一緒に練りこんで、音楽を聴きながら絵を描き、植物や音楽の波動を大事にしながら絵を自由に描いてます。

Q 人にどう見えるかというのは考えないですか?
A 自分の中でオーケーが出るまで描いているので、見る人がそれで共感していただければいいと思います。

Q 美術大学の通信はどうでしたか?
とても勉強になりました。
働きながら大変でしたが、やはり、社会人になってから、美術大学に限らず、勉強するのはいいですね。

この世界には、視覚では見られない物質がたくさんある。それは、香りや波動、外界の音や体内の音、心や身体で感じる暖かさ(温かさ)や冷たさ。人間本来がもつ五感の身体感覚をとおして、体内に入ってきたときに融合する心の風景を香りと音楽とともに描いてます。h.yoshimi



三月の三人展−Improvisation−
油彩と立体各々が自由に作り上げる、Improvisation(即興)的な絵画作品展。
2022年3月7日(月)~3月13日(日)
主催
h.yoshimi/y.koshita/t.shimoda
11:00/19:00  初日13:00~ 最終日 17:00まで
https://sendagaya-dd.co.jp/improvisation/


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