お便り

2023年2月10日
2023年2月10日 インタビュー&お便り
庭のできごと zui nakamura Textile Exhibition
なかむら ずい

Q 今回はどのような作品を作られたのですか?
A 幼い頃に庭で1人遊んでいたときの思い出をモチーフに、植物や小人達の世界を描きました。鳩が巣を作った山吹の茂みをこっそり覗いてみたことや、祖父に教わってトクサをシャリシャリ鳴らしたこと、また、今回は制作していませんが、冬眠からなかなか起きてこない亀のことや、うっかり金魚のいる溜池にザリガニを放してしまったこと、金木犀の木の下で妖精になりきっていたことなど、庭での思い出がたくさんあります。そしてその思い出を彩るのが、周りで元気に生い茂っていた花や草木です。記憶からヒントをもらい、ありそうでないような不思議な草花と、小人達の様子を表現しています。

Q 制作するときにどのようなことに気を付けて制作していらっしゃいますか?
A 色使いにこだわっています。遠くからパッと目に飛び込んでくる色と、近付いて見たときに初めてわかるちょっとした配色の違いを楽しめるよう心がけていて、特に黄色は大事なキーカラーです。染料のため滲みやすい色や並ぶと影響し合う色などがあり、顔に隣接する色や、一番外側のシルエットを作る色には特別気を配っています。
染料を混ぜた防染糊を使って描いていくのですが、1色作るのに大体10分〜20分ほどかかり、ときには色作りと試染だけで1日が終わることもあります。今回は気づけば60色近く作っていました。
また、一番最後に絵柄に沿ってカットしていくので、どんなシルエットになるか気を配りながら制作しています。

Q  これからどのような制作をしていきたいですか?
A 学生のときの卒業制作で、足元ではこんな景色が広がっているんじゃないかという妄想から描いた作品が出発地点でした。今後も「植物と小人」「身長10cmの世界」というモチーフは変わらずに続いていくと思います。一つ一つの表情がより豊かになるよう工夫を重ね、ゆくゆくは地衣類や菌類、苔類、鉱物なども登場できたら良いなと考えています。
見た人の気持ちがほんの少し楽しくなるような、暖かくのんびりした世界を描いていきたいです。

庭のできごと zui nakamura Textile Exhibition
展示する作品 筒描きによる小作品群
幼い頃暮らしていた家には、少し大きな庭がありました。日向も日陰もあり、木も花も草も元気に生い茂っていたのをよく覚えています。ノッポの金木犀や、鳩が巣をつくった山吹の茂み。口や手を染めながら食べたドドメの実。冬眠からなかなか戻ってこない亀。日陰を占領するドクダミと雪の下の攻防。音を鳴らして遊んだトクサ。庭で過ごした記憶と、大好きなおとぎ話の世界がいつしか混ざり合い、私たちの気がつかないところでたくさんのお話が生まれているのだと考えるようになりました。そんなできごとを、一枚一枚、布に染めていきたいと思います。

日程 2023年2月9日(木)~2月12日(日)
主催 なかむら ずい
Open/Close 12:00/20:00 最終日19:30まで
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