お便り

2022年8月7日
2022年8月7日 お便り&インタビュー
raw 花輪&竹内

二人とも美大を卒業してから初めての展示会である。
ギャラリーの漆喰の壁が作品になってしまうような広がりのある作品で岩絵の具の色がきれいに発色している。この展示の題はraw、生という意味で二人は、生きている生の感覚を取り戻そうとしている。懐美館




花輪ちひろインタビュー
Q どうしてこのような作品を描くようになったのですか?
A 学生時代に日本画に触れてから自然を身近に感じるようになり、日々感じている自然の中にあるものを汲んで表現していきたいと思ったことがきっかけです。

Q 作品を描くのに何をこころがけていますか?
A 自分の思うこと、感じること、うそいつわりなくまっすぐ絵にのせることを心がけています。

Q これからどのような作品を描いていきたいですか?
A 日本画を通じて、どこか懐かしく、あたたかくてやさしい絵を描いていきたいです。

竹内梓インタビュー
Q どうしてこのような作品を描くようになったのですか?
A 人が文明の発展とともに失った野生の勘を取り戻したいとずっと思ってます。自然災害が多い日本では生きるためには地震をすぐに察知して山から逃げる野生動物のように地球の小さな変化を見逃さないように感覚を鋭く保つことが必要だと考えてます。そこで生命の仕組みや身体の構造に興味を持つようになり、現在のような作品を描いてます。

Q 作品を描くのに何をこころがけていますか?
A 作品がひとつの生命体として蠢き呼吸を始められるように念じながら描いてます。

Q これからどのような作品を描いていきたいですか?
A 作品を通して、人の本能を刺激できるようになりたいです。

Q その他
A ずっと忘れ物がある気がして頭が重い日々を送っています。
だいたいiphoneだったり、鍵だったり、スリッパのまま家を出てきたりと様々ですが、ふと、草をはだしで踏んだときのひんやりとした心地よさを思い出す時があります。無理に思い出そうとするのではなく、身の周りの何かが引き金となって大切な記憶が再び呼びおこされるのです。「あーこの感覚を忘れたら情緒のかけらもない機械のような人間になってしまうな、よし今後は感覚を研ぎ澄まして生き抜くぞ、」と近くに生えてる草を踏んでみるのですが、それはまた生活に紛れてあっけなく消えます。思い出せてる短い間だけは、なんだか野生の勘のような、人間が文明の発展とともに失った大切なものを取り戻せたような気持ちになります。

今回この二人展では忘却と生命をテーマにしています。
筆を動かしているときも大抵は忘れてしまっていて、記憶の霧の中をもがき、あの草の冷たさのような生々しい感覚を呼び起こしたいと願いながら描いています。

raw
日本画
頭の片隅にずっとあるなにか、人として生きていく中で忘れてしまったなにか、大地に横になって眠りについたあのときの日の光、はだしで踏んだ草のひんやりとした心地よさ、言葉にできない、そのなにかを、絵の中に滲ませたぐりよせ、形にしています。こうして形になったものがまただれかのなにかに成って巡る。そのような場になれば幸いです。
日程 2022年8月5日(金)~8月8日(月)
主催 竹内梓 azusa takeuchi , 花輪ちひろ chihiro hanawa
Open/Close 11:00/19:00 最終日18:00まで

お便り一覧
月別アーカイブ

ギャラリーへのお問い合わせ、ご利用申込みはこちらにて承ります

お問い合わせ