お便り

2017年4月1日
2017年4月1日 はっきりと覚えています。

2014年冬、早朝。目深に被ったニットキャップ。度入りのメガネ。僕は起き抜けにコンビニへ向かいました。

僕の背丈ほどのコンクリート塀の上から太陽が顔を出し、光、色、匂い、温度のすべてが、僕の目の前を覆いました。メガネのレンズに付いた埃が顕わになり、ニットキャップからはみ出た前髪もまた、ゆらゆら揺れながら冬の低い光を反射しました。

そんなどこにでもある朝の一刻が、今回のテーマの始まりでした。目の前に飛び込んできたシーンの数々を、誇張することなく、あるがままの姿で刻んで収める。例えばこの文章を書いている僕の目には、紙とペンに加え、自分の両手、手前には前髪、奥には脚の付け根すら映っています。それが「ある視界」です。



実際に撮影に臨んだのは1年後の2015年冬でした。女性と男性の間にある距離、そしてその距離の中にある気流のようなものを再現しようとコンテを描きました。モデルのyuiさんには予めシーンの内容を仔細に伝え、多い時にはワンシーンでフィルム1本を使いました。いいかどうかは分かりませんが、そういうことをしました。素敵な表情を添えて下さったyuiさんに感謝致します。


最後に、ご来場頂きました皆様、ありがとうございます。拙作ではありますが、どっぷりと鑑賞して頂ければ幸いです。
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