2023年7月25日
2023年7月25日
時を切りとる三人展 stop the motion Ⅱ
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インクアーティスト Shiroki インタビュー
Q 墨との出会いはどのように始まったのですか?
5歳の時からのご縁です。近所の遊び友達のお父さんが書道教室をやってました。ほんの軽い気持ちで始めましたが、それも50年を過ぎようとしています。
Q 書道から始まったのが、文字を捨てることで、どんな風に世界が広がりましたか?
文字から離れた前衛書道には前から興味がありました。書道の上手な人は数え切れない程います。その中で前衛書道はオリジナルの要素が全て。文字から離れたのも、その独自性の強さにあります。
Q 20年以上に渡り国内外で数多くの個展をされましたが、変化したものは何ですか?
基本的に自分自身は変わっていませんが、作風が変わって来ていると思います。
Q インクはオリジナルの墨だそうですね。長年、黒だったのが、今年から色も使ってみて、どんな感触がありますか? 色にはどんな想いを込めていますか?
自分の殻を破ってみたいと色々と研究してみました。その中で出会った[色]です。黒一色よりも想像力がもっと生まれると思いました。
Q 来年の懐美館での個展についてお聞かせください。
まだ構想はありませんが、今回の展示で感触を掴みたいと思っています。
2024年5月3日(金)〜5月6日(月)に開催します。ご来廊お待ちしております。
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フォトグラファー 高橋 力 インタビュー
Q 5年前の「stop the motion Ⅰ」から始めた作品制作は、それまでの商業写真家としての撮影と違いますか?
商業写真は、依頼主の頭の中にあるイメージを形にする仕事だと思っています。作品は、自分自身の中にある風景を描くものだと思っています。
Q「tattoos on the wall」シリーズの最初の風景にはどうやって出会いましたか?
6年前に両親を看取ってすぐに旅に出たいと思い、かつて仕事で行ったことのあった中国の田舎町を訪ねました。その時に、気になった風景を無心に撮り続けました。依頼されたわけでもなく、発表するつもりもなく。いま思い返すと「撮る」という行為が、両親を失ったことに対する自己治療だったのではないかと思います。
Q 従来の「印画紙」から「和紙」に変えたことで何が大きく変わりましたか?
5年前に初めてこのシリーズを発表したときは、とにかく形にすることに精一杯でした。どうにか展示を終えてから、描いた風景に対して印画紙では違和感があると感じ、素材を探して和紙にたどり着きました。頭の中にある作りたい物のイメージに、一歩近づけた感じです。
Q 次は和紙も自分で漉くことを決め、その材料の畑も始めたそうですね。畑の様子は如何ですか。
市販の和紙で制作してみてまだ違和感が残ったので、紙も自分で作ってみようと思いました。材料もなるべく自分の身近にあるもので作りたいと思い畑で栽培し始めました。まだ今年栽培し始めたばかりですが、いまのところ元気に育ってくれています。
この秋に初めての収穫を迎えるので、来年3月の個展にその紙を使えたらと思います。
Q「tattoos on the wall」の風景にはこれまで人物は登場していません。今後どんな可能性がありますか?
このシリーズは、直接は描かれていない人の気配を感じる、というのが大きなポイントです。初めは居なくなってしまった両親の姿を、その後は私がまだ小さいころに亡くなった祖父や叔父などの想い出を描いています。いまはこの世にいない記憶の中の人を描いているので、人物は登場していないのだと思います。作品から感じ取る気配は、見る人によって違ってくると思います。人を描くと見る人のイメージを限定してしまうので、人物は描かないかもしれません。
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グラフィックアーティスト 望月ミサ インタビュー
Q 5年前の「stop the motion Ⅰ」以来の展覧会だそうですが、どんな気持ちですか?
アート制作はマンネリズムとの闘いだと思っていました。離れていたらあっという間に5年が。しかしその歳月のおかげで、自分のマンネリズムに対して「いよっ!待ってました!」という心境が訪れました。止めるのはいつでもできる。でも、誰かが代わりに創ってくれるわけではない。私はやはり、この万華鏡アートが好きなんです。
Q やっぱり好きとのことですが、本物の万華鏡を作らないのですか?
私は万華鏡を止めたい人なんです。長時間どんなに動いても見飽きないのが万華鏡。思いがけない形が登場するのも魅力です。
一方、良い絵画はずっと止まっているのに、これも見飽きないものです。私はこちらを目指しているので、たぶん今後も万華鏡そのものは作らないと思います。
Q 作品を「半立体」にするこだわりはどうやって生まれましたか?
最初はCGでつくる平面プリントでした。平面でもなく、立体でもない。額の閉ざされた隙間に立ち上がる半立体の世界、この表現が展覧会にマッチしました。プリントのどこを切る、何ミリ上げる、下げる、ラインストーンをどこにつけてメリハリをだすか等。この最終工程が楽しくて、平面だったCGに“煌めきが宿る瞬間”でワクワクします。盛り過ぎて没が出ることもよくあります。
Q 抽象の中に、具象モチーフも取り入れていますが、抵抗はなかったのですか?
抵抗はないですし、アイコンが共感されやすくプラスに転じることもあります。基本はシンメトリーや連続模様ですから、具象的な形が偶然現れることはよくあります。それをどう残すかは匙加減です。
Q 来年は初の個展が目標だそうですが、意気込みをお願いします。
今回の「stop the motion Ⅱ」のおかげで、やっとエンジンがかかりました。いつものことですが、走り出したからには、思いきり駆け抜けたいと思います。
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時を切りとる三人展 stop the motionⅡ
Shiroki インクアート
高橋 力 写真
望月ミサ グラフィック・アート
身体と墨の動きが一体化する、その瞬間のエネルギーを凝縮したインクアートのShiroki
カメラを筆にどこか懐かしい風景を和紙に描く高橋 力
「動きを止めた万華鏡」をモチーフにしたグラフィック・アートの望月ミサ
個性の違う「静止画」の表現者たち三人、5年ぶりのコラボレーション展
日程 2023年7月28日(金)~7月31日(月)
主催 Shiroki / 高橋 力 / 望月ミサ
Open/Close 12:00/20:00 最終日19:00まで
URL
https://www.shiroki.net/
https://www.facebook.com/foto.riki.jp
https://white-space.jp/
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